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電話で娘が危篤だという報せを受け、直ぐに言われた病院に向かった。
しかし、その病院に着いた時には手遅れで娘は既に息を引き取った後だった。
病院のベッドで亡骸として眠っている娘を、初めて見たその姿を、ただただ脱け殻のように呆然と眺めるしかなかった。
「こうなったのは全てあなたのせいなんだからね。この子が可哀想」
すぐ後ろでそう声がした。
それは聞き覚えのある声で俺にこの病院に危篤の娘がいると知らせた電話の主、白百合(シユリ)のものだった。
彼女とは中学時代から付き合いのある腐れ縁の女友達だったが今日のこの日、久々に顔を合わすことになった。
「本当はあんたをこの子に会わせたくは無かった。・・・分かるわよね、自分でしでかした事だもの」
彼女の遠回しの皮肉めいた台詞に俺は何も反応出来なかった。それどころかこの時、その存在すらも認識する事が出来ない程だった。
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