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「この子はずっとあんたを憎んでたわ。母親を見捨てた事や自分の病気の事、他にもこれまでいろんな事でね。・・・でもね、それでも最期の最期に言ったのよ。途切れ途切れな声で“お父さんに会いたい”って。だから仕方なく呼んであげたのに。結局間に合わないなんて・・・。最後まで救いようないわね、あんた」
真っ白な状態だった頭の中が徐々に晴れてゆき、白百合の存在やその一言一言の言葉の意味をようやく理解出来るようになった。
「それに今日この子誕生日なのよ・・・。16になったの。でもその日に死ななきゃならないこの子の苦しみが、あなたに分かる? ねぇ」
白百合の放った一言一言が俺の心に突き刺さる。
どうしてこんな事になったのだろう・・・。
自分でも自分が情けなくて、悔しくて、たまらなかった。悔やんでも悔やんでも悔やんでも、何度悔やんでも今となっては悔やみ切れない。
あのどうしようもなかった自分のせいで掛け替えのない娘を、たった一人の掛け替えのない娘を、元気な姿を一度も見ないまま亡くしてしまったのだから・・・。
しばらく沈黙が続いた。
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