輪之一 始まり

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いなくなる。 誰も…誰一人として。 そんな言葉が私の脳裏によぎった。 果たして、私が言った言葉なのか、別の誰かが言った言葉なのか…。 「--き、柚希」 ゴトンゴトンと、心地よいリズムを刻む車内。 うとうとと、まどろみに包まれる私に暖かい声が降り注いだ。 「ぅぅん…夏奈ちゃん…?」 重たい瞼を開き、私を見下ろしている彼女--姫井 夏奈(ヒメイ カナ)を見た。 「柚希、おはよう」 暖かな眼差しを向け、そう一言。 「ん…おはよぅ…」 まだ覚めきってない為、油断すると寝てしまいそうになる。 また、私の瞼がゆっくり降りてきた。 「そんなに眠い?柚希、おはようのちゅーしようか?」 そう言って唇を尖らせて顔を寄せる夏奈ちゃんに私はぎょっとする。 「な、何を!?」 目覚めきってない頭が一気に覚め、思わず声を荒げてしまった。 当然、何事かと視線が集まる訳で。 一瞬、時が止まったかのように思えた。続いて、バスの車内で笑い声が木霊した。 は、恥ずかしい…。 隣では、したり顔の夏奈ちゃんがみんなと一緒に笑っている。 私の頬がカァァっと熱くなるのを感じる。 すると、前に座っていた先輩、河原 麻姫(カワハラ マキ)が振り向き、こう言った。
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