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「柚希、なに言って「来ないでよ!!」
私は掴もうとした夏奈ちゃんの手を振り払った。
「柚希……」
酷く傷ついた顔。ハッと気がついた頃には遅い。私は夏奈ちゃんを拒絶して傷つけてしまった。
大好きなのに。
私は--。
「っ………ごめん…」
そう言って私は走り出した。一度も振りらずに。
私は最低だ。夏奈ちゃんは悪くないのに。私が悪いのに…。
大好きなのに…。私は夏奈ちゃんを傷つける事しか出来なかった。
「柚希…」
柊さんの声。
いつの間にか私の前に柊さんが立っていた。
「ひぃ…らぎ…さん……私…」
悲しくて、悲しくて……。
目から溢れる涙を止められず。ただただ、地を濡らしていく。
「それでいいのよ……」
そう言って冷たい手で私の頬を撫でる。
柊さんもまた、私と自分を重ねているのだろう。
だって--。
柊さんも泣いているから。
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