教皇の狗

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アステアのほぼ中心にある町リュートリア 教皇庁があり、アステア教の信仰の中心でいたるところに神々の神像が作られており、世が平和であれば人々に敬われていたと思われる。 その町の大通りを一人若者が勢い良く走っている。 周りの人々の暗い雰囲気とは対称的に明るくはつらつとした表情が見てとれる。 若者の名はユリアン、つい先ほど教皇サレウス四世より神官騎士に任命されてたばかりの青年だ。 神官騎士は教皇の命を受け様々な活動をする神官の護衛が主たる任務だが、 過去には他国からの侵略より国を守った事もあり、 騎士団の規模は一国の軍隊に匹敵する。 ほどなくしてユリアンは騎士団の指令部へとやってきた。 赴任の挨拶と配属先の確認のためである。 門をくぐり指令部へと入っていく、とある部屋の前を通ると中から女性の助けを求める声が聞こえた。 「神聖な団指令部でなにをしている!」 ユリアンは勢い良く扉を開けて飛び込んだ。 中にいた中年の男と戯れていた女性が一斉にユリアンを見た。 「なにをしていると聞く君はここがどこか分かるかね?」 ユリアンに向き直りながら中年の男が問いかけてきた、その胸には高位の神官の証しである赤の聖痕が刺繍されていた。 ユリアンは軽い目眩を覚えた。
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