教皇の狗

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ギュスターウらに促され部屋を出た。 「いいんですか?騎士がこんな昼間からお酒なんて、いつ任務を命じられるか…」 そう言ながらユリアンはギュスターウに詰め寄った。 「聞け!ぼうず、俺達にまともな任務なんて来ねえよ。 この宿舎に他に騎士がいねえのは任務じゃねえ。 この第三中隊は隊長と俺、この東洋人が三四郎。その他は二人しかいねえ。」 ギュスターウの言葉にユリアンは信じられないと言った表情でギュスターウと三四郎を見た。 ちなみに一個中隊は四個小隊、一個小隊は三個分隊そして四人一組で一個分隊である。 「そんな…人の幸せの助けになりたくて騎士になったのに…」 と落胆するユリアンを三四郎が 「大丈夫ですよ。まったく任務が無いわけではありませんから…」と言って励ました。 その様子をギュスターウは複雑な表情で見つめていた。 第二師団第二連隊… 通称「魔女狩り連隊」、「教皇の狗」と呼ばれるこの部隊が人々へ幸福を与えるのは不可能に近かった。 だが、この中隊への配属がユリアンを波乱の人生を歩ませることになろうとはユリアン自身も知らない。
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