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任務がないと言ったギュスターウの言葉を裏付けるようにそれから一週間なんの任務もなかった。
「久々に勅命が下った。ハンナ村に奇妙な死体が相次いで見つかっているそうだ。」
相変わらずオーランドは酒瓶を片手に持ちながら指令書を読んだ。
「久々ですね…と言うことは…また、当たりですかね。」
三四郎が奇妙な面持ちで呟いた。
どういうことかと聞こうとしたその時、
「恐らくな…危険な任務だろう。ユリアン気をつけろよ。隊長、今回の編成はどうするんですか?」
ギュスターウが口をはさんできた。
「今回は、ユリアンの初陣だ。ここにいる全員で行く。出発は明日だ。」
オーランドがそう告げた。
部屋を出るとユリアンは三四郎に任務の話をした。
三四郎は「この部隊が本部からの嫌われ者の寄せ集めと言う事は知ってるかい?
危険だと思われる任務は最優先でまわってくるのさ。
だからこの部隊は戦死者が後を絶たないし、死なせるつもりで任務をまわしてくる。
だからと言って死んでいい人間なんていないユリアン君、ともかく生き残ろう。」
とユリアンの肩に手を置き、笑いかけた。
その笑顔が少し悲しそうだと思ったが、言葉には出さなかった。
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