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夏の日。
体中が暑い。
体の水分が蒸発してしまいそうだ。
風呂上がりの爽快感を味わいたいがために銭湯に行くことにした。
どうせ誰からも何も言われないのだから、男湯に入ろうが女湯に入ろうが同じだ。
当然、金も払わない。
今日は男湯に入ることにした。
立ち込める湯気。
シャワーも浴びずに湯船につかろうとしたが拒まれた。
人にではない、お湯にだ。
入ろうにもお湯が私の体を拒む。
無理に入ろうとしても表面に波が立つだけだ。
こうなることは分かっていた。
私は長生きだ。
色々なことを経験してきて、自分は水にまで嫌われていることに、とっくに気づいている。
それでもいつか入れるのではないかと思い、試してしまう。
そうしていつも結局、サウナに入って終わるのだ。
水風呂にも入れないので火照った体を冷やすために、脱衣場を走り回る。
当然これも、私だからできること。
扇風機が送り出す空気が心地よい。
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