第1章 全ての始まり―サラ編―

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サラは教室を後にするとギシッギシッと軋む廊下に出た。 職員室に向かいながら、ふと、微かにする甘い匂いに気がつく。 「あっ…金木犀」 校庭に面した窓から見下ろすと1階下の倉庫脇に黄色い花をつけた木が1本だけ、やはりそこにあった。 「ああ、もうそんな季節か」 汗ばむこともなくなり、長い袖に替わったシャツの白い色に良く合ったスカーレット色のリボンを結び直す。 季節は夏から秋へ変わったのだ。
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