第1章 全ての始まり―サラ編―

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“コンコンッ” 滑りが悪い引き戸を頭一つ分開け、担任の姿を探す。 「失礼します。 1年A組の鈴木です。 吉田先生いらっしゃいますか?」 意外にもドアの近くにいた本人が声を返した。 「おお、鈴木か。 どうした?」 「いえ、日誌を」 「そうか、今日は鈴木が日直か。ご苦労だったな。 他にまだ教室に誰か残っていたか?」 「いいえ、誰も。」 「そうか。じゃあ戸締まりしたら帰っていいぞ。 もう日がくれるし、気をつけて帰れよ」 サラは書き上げた日誌を吉田に渡すと、また固い引き戸を閉めた。
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