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「そんなに驚かなくても……ねっ!千兵!」
千兵と呼ばれた青年は、面倒そうな顔を変えることなく何も言わずに頷いた。
男は腰を抜かしてなかなかショック状態から抜け出せないようだった。
「あわわわわ……か、神様ぁ~!」
と、そこへさっきの門番が現れた。
「どうかしましたか~?」
少し腑抜けたような声で門番は問う。
「あっ!あの~……私達の姿見たらこのオッサンとってもびっくりしちゃったみたいで……」
少女が忍びなさそうな顔をしてこちらをみる。
この時門番は、千兵と『くっついている』少女を見たが顔色ひとつ変えずに返事を返した。
「あ、ゴメンね~。この人、体格の割に『臆病』でさぁ、驚かせたりするの弱いんですよ。あれ……もしかして傷付いちゃった?」
「だ……」
「大丈夫です。こういうの慣れてますから……」
門番の問いに千兵は相変わらずの表情で、少女は無理っぽく少し微笑みながら応えた。
「でもあなたは、私達を見ても動じないんですね」
「うーん、まあね。君たちよりスゴい人を日頃見て、慣れちゃってるから」
門番はさらに続けた。
「まぁ、でも君達みたいなのを見ればこいつもこんなにびっくりするかぁ。だって背中からもう一人の上半身が出てるんだもんな~」
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