入国

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門番は書類を受け取り、しっかりと隅々までチェックした。 「へぇ……。女の子の方は『魔族』なんだね」 「はい。そうですけど……。もしかしてマズいですか?入国出来ませんかね?」 少女は心配そうに訊ねた。 門番はさらりと答える。 「別に問題ないよ。我が国は種族共住国だから。それにもし駄目だとして……その体で別々に過ごせる?」 「あはは!確かに!無理、ですね……」 * 書類を見終え、門番は千兵と少女に言った。 「えーと、これで入国手続きは終わりだけど……入国前にとりあえず名前の確認だけさせてもらうね」 「はいは~い!」 「ん」 「えっと……。男の子のほうが……千兵君、だね?」 「ん」 「そして女の子のほうが……リリィちゃん、だね?」 「は~い!合ってまーす!」 名前の確認を済ませると、門番は軽く咳払いをして、こう言った。 「よしと、それじゃ改めまして……。 千兵君とリリィちゃん、我らが『ジアポーネ共和国』へようこそ!」
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