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入国手続きが終わると、千兵達は事務所の奥へ通された。
事務所の奥には灰色の無骨なドアが一つ。
そこを開けると……
長い廊下が続いていた。
窓は無く全面コンクリートだが、蛍光灯で隅々まで照らされていて明るい。
しかし、廊下の向こう側は遥か遠くにあった……
「うへぇ~、長いな……。門番さん、ここをずっと歩くの?」
リリィは弱音をこぼした。
「休憩を取りながら歩きましょうか~?」
門番は気を遣って聞いた。
「いや、大丈夫です。歩ける距離なので」
リリィはそれを丁重に断り、千兵は門番の前に出て歩き出そうとしたが、
グゥゥゥゥゥゥ……
千兵の体内から何かが萎縮する音が廊下中に響き渡る。
そして、
「なんか……歩きながら食べられる物無いですかね?」
リリィは弱音をこぼした。
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