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千兵達はドアをくぐり外に出た。
「ふいぃ~。やっぱり外は良いねぇ~」
千兵は黙ったまま、リリィの発言に応えようとしなかった。
「でもなんか意外と……」
外の光景は、
視界の上半分位までは普通の都会の光景だった。
遠くには地平線に規則正しく並ぶたくさんの高層建築物がぼんやりと霞んで見える。
そこから木々を挟んで手前には大きな公園が広がっている。
問題は視界の下半分だ。
人が五人ほど並んで寝ても余裕があるくらい幅の広い道が、公園内を真っ二つに割るように、ビル群へと突っ切るように延びていた。
だが……
「意外と……荒れてるね」
道沿いに溢れんばかりの薄汚いぼろきれを着た物乞い達が、ビニールシートやベニヤ板や鉄パイプで手作りしたであろう住居を構えて蠢くように生活していた。
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