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「僕は君達に危害を加えるつもりはない。むしろ、君達の味方だよ」
物乞いは言った。
千兵は相変わらず物乞いを睨んでいる。
物乞いは小声で続けた。
「良い?ここの物乞い達は皆、物をかっさらっていくプロ――強盗スリ集団みたいなものさ。
僕はここで何度もその現場を見てきたけど、奴等はここを通る者から必ず何かをスる。力ずくで何かを取っていく。失敗したことは見たことない。
だけど……
僕はねぇ……見つけたんだ。だから教えてあげるよ。
無傷で、かつ何も金目の物をスられずにここを通る方法を」
そう言うと、物乞いはニヤリと笑って見せた。
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