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千兵は相変わらず睨んだまま。
物乞いも小声で続けた。
「物乞いはスリ集団みたいなものだからといって金を狙って来るとは限らない。結局のところ、食に困らなけりゃ良いんだ。だからさ……」
物乞いは一瞬だけ千兵が抱えている袋を見て、こう提案した。
「そのサクランボを置いていけば良い。どうだ?名案だろう?」
「…………」
千兵は暫く黙って考え、そして……
「…………や」
首を横に振った。
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