物乞いストリートの戦い

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時間にして僅か10秒。 その短時間で3人の人間を戦闘不能にした千兵に対し、物乞いの集団は少し距離を置いた。 そして武器を持った物乞い達はお互いの顔を見あう。 その様子は千兵に恐れおののく様にも見え、あるいは次の一手を確認しあっているようにも見えた。 もちろん千兵の視点は後者である。 と、前方から4人の鶴嘴を持った大柄な男がじりじりと距離を詰めてきた。 千兵はそれに対し身構える。  誰だ……  誰が先にかかってくる? 千兵は段平を鞘に収めたまま構え、次の相手の一手を考える。 その時、 「!」 千兵の不意を突くように一人の男が全速力で走って向かってきた。 しかしそれは鶴嘴を持った大柄な男ではなく、 大柄な男達の後ろに隠れていたのであろう小振りの金槌を両手に持った小柄な男だった。
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