物乞いストリートの戦い

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「う……」 「あは……今思えば普通に出てきちゃったもんね私……」 これまで旅をしてきた千兵とリリィだが、本来一人二人相手にしかリリィは姿を現さなかった。 集団で姿を現すと、その異様さから集団で恐れられたり攻撃されたりするからだ。 リリィも千兵もそれがとてつもなく嫌なので、滅多な事ではリリィは出てこないことに決めていた。 それでもリリィが出てくることがあった時の話は後に語られることとなる。 話は戻り、この現状。 千兵とリリィはこの立場からどうすれば良いかひたすら迷っていた。  背を向けたら石か何か投げられるだろうな。 千兵は直感で思う。  そんじゃあここは一つ何事もなかったかのように街に向かってみるとか。 リリィは千兵の考えを受けて思う。 周りの人間たちは未だ唖然としたままで、話し声一つ無ければ周りを見渡すような者もいなかった。  ここは黙って街に向かってみるか…… 意見が一致した千兵とリリィは傍らに落ちていた荷物を拾い上げ、何事も無かったかのように街に向かい歩き出そうとした。 が、その時、
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