物乞いストリートの戦い

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一同、呆然。 何人かの物乞いに至っては、 『ああ……やってくれたなアイツ……』 と言わんばかりの視線を、小さな物乞いに送った。 一方小さな物乞いはと言うと、 完璧に焦っていた。 辺りをキョロキョロ伺い、スピーカーをぽんぽん叩いたりする仕草の一つ一つが忙しなく、人によってはイライラさせられるようだった。 スピーカーが壊れてないことを確認すると、小さな物乞いは続けた。 『だ、だがしかし!僕たち物乞いなんだ!普通の人間じゃないんだ!だから君達みたいなちょっと特殊な人を見たからって、普通の人から避けられるっていう点ではむしろ仲間だ!そんなんでビックリしてたまるか!』  その理屈、無理矢理過ぎないか? リリィはスピーチを聞きつつ呆れながらそう思った。 一方、千兵は物乞いのスピーチを聞くどころではなかった。 ある一つの事をずっと感じていた。 自分の情けなさである。
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