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ところで、『門』と一口にいってもその大小は様々である。
大抵はそこを通るものの中で考え得る最大のものに合わせてあるものだ。
「……で」
小走りで近づくにつれて、青年は視界にある門が想像していたよりも遥かに巨大であることを悟った。
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「旅をしてらっしゃる方ですか?」
額に少し汗を滲ませながらも門の前に着くと、青年はそこにいた少しだけ童顔の門番に問われた。
問いに対し青年は頷き、肯定の意を示す。
「そちらの段平を見た限り、『武族』の方ですね」
青年は頷く。
「分かりました。では入国手続きをしますので、どうぞ中へ入って下さい」
そう言うと門番は、家が一軒まるまる入ってもゆとりがありそうな程に巨大な幅を持つ門――
……ではなく、その脇にある人一人がやっと通れるような、良く言えば可愛らしい、悪く言えば酷く矮小な扉を開けた。
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