秘密と修行と解体新書

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―――――――――――――― 報告を始める。 まず今回のこの事件の原因は、旅人の魔族の少女が放った空気球の爆発によるものである。 しかしその爆発はかなり特殊でかつ強烈なものであった―― 普通、爆風は爆発地点を中心に立体的に広がっていく。 しかし空気球の爆風は、空気球がある高さにのみ広がった。 つまり、『立体的に』でなく、『平面的に』爆風が広がったのである。 今回の場合だと、地上1メートルより少し上ほどの地点で爆発が起こった。 人間のおおよそ腹部からみぞおち部分がある高さである。 問題はその威力である。 本来なら上下左右四方八方に広がる爆発の衝撃が、一定の高さに凝縮されることで爆風の威力が格段に上がり、更にその爆風の及ぶ範囲も格段に広くなる。 幸い此度の爆発は、『爆発』というよりも圧縮した空気の破裂に近く、人を直接死傷させたりするほどの威力は発揮しなかった。 ……周辺にいた人間の殆どは数十メートル吹き飛ばされたが。 何故そういった特殊な爆発をしたのか。 我々『究明院』では未だ解明を急いでいる状況だ。 報告は以上。 「……おっと、話はまだ終わってませんよ」 ……レリル教授、手短にお願いします。 「……あの少女、身体がどういう仕組みなのか独自に調査したところ、面白い事実が解りましてね。――」 ――――――――――――――
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