秘密と修行と解体新書

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―――――――――― 「いやーびっくりしたよー」 棒読みの声が広場に響く。 千兵が振り向くと、その声の主が倒れる物乞い達の隙間を縫うように歩み寄ってきた。 小さな物乞いだ。 「しかしまた、ド派手にやってくれたもんだねー。普通なら一人くらい死んでてもおかしくないよこれ」 千兵の近くまで歩み寄ると、わざと視線を逸らすかのように周りを見て呟くように言う。 「ご」 そう言うと千兵は、小さな物乞いに頭を下げた。 「え?――」 「ごめんなさい!あんまり皆さんが勢いよく襲いかかってくるものなので、つい魔法を……」 頭を下げた千兵の背中に手をつき、リリィは小さな物乞いをじっと見つめながら涙ながらに謝る。
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