秘密と修行と解体新書

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* 「……」 「千兵さん、なかなかご立腹ですね……」 「……まあ、昨日と今日でこれだけ嫌な思いすれば、こうなるだろうねぇ」 千兵の額には大きな縦長のたん瘤が、眉間にまで広がるくらい赤く膨らんでいた。 それを手で時々慎重に擦り、涙目で眉を吊り上げながらも、千兵はテーブルに用意されていた席に着席していた。 「タイミングが悪かったですね……」 「ある意味良かったけどね」 「まあそう腹を立てるな、青年よ」 千兵の向かい側に金髪の少女が座ると、その隣にいつの間にか短い白髪に深いシワと大きな傷痕を顔に持つ老人が座っていた。 「!!」 「……え?い、いつの間に!?」 「……なんだ、爺か。勝手に会話に参加しないでくれるかしら?」 老人の登場に、千兵とリリィは狼狽したが、金髪の少女はさほど驚かず淡々と話しかける。
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