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「う」
「ふぅ~、美味しかったぁ。お腹いっぱいだね」
千兵は最初に出された分の料理では飽き足らずおかわりを繰り返し、結局五人前程度もの量を平らげた。
両者とも、たいそう満足した様子である。
このあと食器は全て下げられ、3――4人の前には、細かな彩飾の施されたティーカップに入れられた紅茶が出された。
「……私が一人前食べる間に、もうあの量を食べ終わりましたか」
「兄ちゃんは、食欲旺盛じゃのう。背中のお嬢さんは食わないのかい?」
金髪の少女はカップを持ち紅茶を優雅に飲みながら呟き、老人は紅茶などどうでも良さそうな様子で、楊枝で歯間をシーハーしながら問う。
「あぁ、私がいる分千兵が多く食べてるんですよ。千兵自身はそんな大食いじゃないんで、半分以上私が食べてるようなもんなんです」
「つまり、えっと……飲み食いしたものは体内で共有してるってこと?」
「はい。ついでに味覚も繋がってるので、千兵が食べたものの味を私も味わってることになるんですよ」
「ふむふむ……」
金髪の少女はティーカップをテーブルに置き、懐から手帳を取り出して、相づちを打ちながら何かを書き留めていた。
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