秘密と修行と解体新書

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リリィは、無言でほのぼのと紅茶を啜る千兵の耳元で囁く。 「ねぇ千兵、――」 千兵は表情を変えることなく、リリィの囁きに耳を傾ける。 「どうかされました?」 「いろいろ聞きたいことはあるんですけど、とりあえず1つだけ。今更なんですけどね」 リリィはそう言うと、表情を一転して強ばらせて金髪の少女に指差した。 千兵もティーカップを置いて立ち上がり、リリィと同様にして老人に指差した。 そして問う。 「貴方たち、何者ですか!?」 食堂内に暫しの沈黙が立ち込める。 金髪の少女と老人は呆然とした表情で顔を合わせた後に、しばらく千兵たちを見つめた。 「えっと……答える前にこっちから聞くね。いつ気になった?」 「さ」 「ついさっきだよ。ご飯食べ終わったあたりから」 少女は老人ともう一度顔を合わせると、ため息をひとつついてゆっくり立ち上がった。
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