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「そういえば私も自己紹介というものをすっかり忘れておりましたわね」
金髪の少女は澄ました表情で立ち上がった。
「私、レリルと申します。今回千兵さんたちの付添人と宿の提供とその他諸々を担当することになりました、――」
話を途切って一瞬だけ、何か確認するように老人と顔を見合わせ、再び千兵と向かい合う。
「この国の王女です」
*
凛然たる告白の数十秒後に漸く現れた言葉はというと、
「は?」
「何だって?」
「まぁ、そうなるじゃろうなあ、ほっほっ」
何一つ把握できていない二つと、
全てを把握した上での一つの両極に別れた。
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