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悲しみの色は、暗黒だというひとがいる。
どこまでも果てしなく続く暗闇なのだと。
しかし僕に言わせれば、それは全くナンセンスだ。少なくとも僕らにとって、悲しみは黒ではない。
むしろ、白くあかるい。
もしくは青。
どこまでも限りなく広がる、さめた青。
悲しみというよりは、哀しみに近いかもしれない。
とにかく、僕らの眼前に広がる哀しみは、澄み切った青だ。
それがまたいけなかったのかもしれない。
いくつもの年月を経た青は、さらに透明になり、清らかさを増した。
暗闇ならば、光を探せばいい。しかし無限の青の前で、僕らはなすすべを知らない。
僕らは今も青の中をさまよっている。
なすすべなく。
途方に暮れて。
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