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共和国前線基地
マトン・ラード
陸軍第三師団
特殊魔導歩兵中隊
ここに属する小隊の一つ
第四小隊
機甲魔術混成特殊小隊
通称『アサルト・ターキー』
別名『変わり者部隊』
の隊員達は
しばしの休息を味わっていた。
アルゴリズの廃墟での戦闘が終わり、
次の任務を待っているのである
とは言え、そこは軍人
日々の鍛練は忘れない
今も広いグランドで汗を
流している隊員が何名もいる。
しかしながら今日も雲一つない天気
あまりの暑さに早々に
退散する者もチラホラ。
情けないと言うなかれ
如何に前線で戦う精鋭とはいえ
任務以外の自主戦闘訓練を
炎天下で続けるのはキツい
場合によっては
熱中症で医務室に運ばれる者も…
「おーい。
また一人倒れたぞ~。」
「タンカ持ってこーい。」
そんな声が行き交う中
涼しげな木陰で隊員達を
見ている影二つ
「な~にやってんだか。」
木の幹に背中を預けて
呆れたように呟くのは
前線での激しい戦いのせいで刻まれた
顔中に傷のある精悍な男性
グェンデル・エングッリ(43)
階級、曹長
第四小隊の切り込み隊長だ。
「まぁ、この天気だからな…。」
上を見上げ、木漏れ日を眩しそうに
眼を細めて受け、答えるは
こちらもグェンデルに負けぬ
精悍な男性だが
後髪を細い三編みで纏め
更にはレースのリボンで結わえている
独特なヘアースタイルの持ち主
アンバラック・トーラス(46)
階級、伍長
グェンデルの親友で戦友である。
「こんな時くらい
体を休めてりゃ良いのによ。」
「しかし、前の任務では
隊員の殆どがロクに戦っていない。
血の気が余っているんだろうな。」
『前の任務』と聞いた瞬間に
盛大に顔を歪めるグェンデル
被害はそこそこ受けたが
結果的には白星と言える
なのに何故ここまで
嫌な顔をするのか。
それは、
彼等に近付いてくる男に
理由がある。
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