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「やぁ、休憩中かい?」
爽やかな笑顔を見せて
近づいてくるのは
いかつい軍人の中では
ある意味浮いてしまう
サラサラの短い金髪
澄んだ泉のように蒼い瞳
一見ホストのような容姿の持ち主
エリクソン・マクスウェル(24)
階級、少尉
この第四小隊に着任して
一週間も経たない新任隊長。
一応、グェンデルとアンバラックの
上官で隊長なのだが……
「馬鹿が来たよ…。」
疲れたように溜息を吐くグェンデル
歳若くとも隊長である
その相手を前に平然と
『馬鹿』呼ばわりする。
「厄介事はゴメンだぞ。」
こちらも疲れた顔をしている
グェンデル程露骨ではないが
やはり隊長に対する態度ではない。
何故そこまで無下にするのか
それはエリクソンに非がある
前の任務アルゴリズ戦の折
とんでもない作戦を打ち出し
(戦果は白星だが)
グェンデルを胃痛と頭痛で悩ませ
途中から別動隊になった
アンバラックは
誤爆した罠のせいで
敵と戦う前に消耗してしまった
という酷い目にあった。
「詳しくは
『小隊長殿!敵襲です』
を読んでねっ。」
何故かカメラ目線で
ウィンクまで寄越す。
それを見たグェンデルは、
「楽屋ネタは止めろって…。」
盛大に溜息を吐いて
背を預けていた木の根元に
座り込んでしまった。
「良いじゃないか
誰に迷惑をかけるでもないし。」
反省も後悔もなく
あっさりと答えるエリクソン
もはや何を言っても
無駄と悟ったのか
グェンデルは溜息を吐き
アンバラックは首を横に振った。
「ところで
何か用でもあるのか?」
飄々としていて
とてもじゃないが頼りになる
とは思えない隊長だが
それでも士官
仕事はそれなりにある
ましてや任務が終わったばかりだ
報告書等の作成や
次の任務の打合せもあるだろう
こんな所で無駄話を
している余裕はない筈。
それにグェンデルと
一緒にしていると
何が起こるか解らない
実際、グェンデルを怒らせて
命からがらの追走劇を
何度も繰り広げているのだから。
親友に軍法違反をさせる気はない
非常識の塊でも
隊長を殺したら厳しく罰せられる
それに今までの名前だけの
士官に比べれば
エリクソンの方が数倍マシだ。
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