小隊長殿![月下の二人]です

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  エリクソンが何を言いたいのか解らない 『私も被害者』とはどういう事か 「だから、何を見ても 私に切り掛からないでくれ、 と言う事だよ。 実物はコレだけど。 今言った事を約束して貰えないなら 曹長に見せる訳にはいかない。」 懐から取り出したのは どう見ても 素人の手作りにしか思えない B4サイズの用紙を半分に折って 綴じてある小冊子 それが問題の品物らしい。 それを差し出しながら 今までにないくらい 真剣な眼差しでグェンデルを見つめる 「何だか解らんが…… 何があっても怒るな、て事か? 内容にもよるが、 お前に切り掛からねぇようにするよ。」 表紙とおぼしき紙には 得に何も書いてない 手掛かりもない状態で 内容を推測するのは、 肉体労働が主である グェンデルでは難しい。 だが、あのエリクソンが あそこまで念を押すと言う事は 自分も関わっているように思える それを見ないで流すのも なんだか気持ちが悪いし 『ある意味大問題』 と言った言葉も気にかかる。 「なんなら剣も預けるか? 読み終わるまでは 居てもらう事になるぜ。」 「いや。約束してくれれば それで良いよ。 私もちょっと休みたいし 意見を聞きたいから、 二人が読み終わるまで居るよ。」 そう言うなり 木の根を枕に転がるエリクソン 横になると同時に寝息が聞こえる どうやら随分と忙しかったのだろう 良く見れば目の下にうっすら隈が見える。 「…どう思う?」 「この隊長があそこまで言うんだ。 余程の事が書かれているんだろうな。 帝国絡みじゃない事を祈ろう。」 「それ、俺に関係あるか?」 「暗殺計画書かもしれんぞ。 もしくは、仲間割れを 触発するような内容とかな。」 「まぁ、読んでみるか…。」 話していて解る物ではない となると読むしかない。 しかし、 ガタイの良い男が二人並んで 小さな冊子を読む姿と言うのは、 ある意味で近寄り難い それに気付いているのかいないのか 二人は小冊子に釘付けになっていた… 表紙を開いた直ぐに [月下の二人] と題付けられた 悪夢の本に……  
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