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ピリリリリッ!
蛍を乗せたリムジンに取り付けてある電話が車内に鳴り響く。
「はい…はい……お嬢。村上と言う方からお電話が…」
「まぁ!香(カヲリ)さんからですの?」
蛍は嬉しそうに受話器を受け取る。
「花龍院か?私だが…」
声の主の名前は村上 香(ムラカミ カヲリ)。聖アリア学院三年生。学年一の秀才にして男顔負けの美形の持ち主でもある。蛍とは昔からの友人である。
「もうっ!香さんたら、相変わらず苗字で呼ぶのですね…。」少しふてくされるように蛍は答えた。
「そんな事よりも…」
香は蛍の言葉を聞いてないかの様に続ける。
「野球部の新顧問が決まった。」
「まぁ!それは良かったではないですか~。」
「それが、今日就任してきた新任教師らしいんだ…。」
「…もしかして…。」
「ああ、花龍院のクラス担任の加藤しずかだ。」
「それでは、廃部にならなくて済むのですね!」
「いや、全国大会優勝が条件らしい…」
「まぁ……。そうですの…。」「それで花龍院にお願いがあるのだが…」
「香さんがお願いなんて珍しいですわね。」
「花龍院に野球部に入って欲しいんだ!」
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