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両親は私が小さい時、事故で死んだ。だから私は両親のかおすら満足に覚えていない。
それから私は祖母の家で過ごした。
祖母は私に優しくしてくれた。そんな祖母が大好きだった。
――お前はうつくしい。よいか、絶対に鏡なんか覗くんではないぞ。
そんな大好きな祖母が言った事を、私は抵抗もなく信じた。守った。
あの日から私の中で鏡という物体は消失した。
だが間もなくして、物体としての鏡以外にも鏡というものは存在するという事に幼い私は気付いた。
あれも……これも……映る。
映る。うつる。ウツル。
そして私の部屋にはごく僅かなものだけが残った。
これで……鏡は消えた。
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