3/5
前へ
/167ページ
次へ
「サエ…体は大丈夫?」 母さんが私に聞いた。 「大丈夫だよ。少しボーッとしてただけ」 私は母さんに笑いかける。 「ねぇ、お母さん…」 「なあに、サエ」 「死んだらどうなるのかな?」 母さんは一瞬ビクッとした様だったが、またいつもの優しい顔で私の頭をなでてくれた。 「バカね…そんなこと考える必要なんてないんだから」 「そう…だね」 私は母の気持ちを受け入れるしかできなかった。 でもね、私を安心させるつもりなのだろうけど、逆に不安になっちゃうんだ… 「真っ暗なところに行くのかな?」 「………」 母さんは何も答えることができない様子だった。 「怖い…怖いよ…」 私は泣き出してしまった。 母さんは「大丈夫。大丈夫だから」と、泣きじゃくる私を優しく包み込んでくれた。 親孝行したかったな… こんなに優しい母親を持って、私は幸せ者です。 神様。 後どれくらい時間がありますか? 私、母さんに何かしてあげたいよ。  
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

184人が本棚に入れています
本棚に追加