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一息。噛まれた橙は怯えているのか藍の後ろに隠れるようにしてしがみついている。
「ここは、幻想郷、世界から忘れ去られたモノが行きつく場所よ」
「幻想…郷・・・・?」
自分の知らない地にたどりついた人が表す何とも言えない呆けた表情を映しだしながら復唱する。
理解が追い付いていないのか、理解したくないのかは未だ分からないが。
「ようこそ幻想郷へ、歓迎するわよ繊月?」
そう言って繊月に手を差し出す紫。
その手を呆けた顔で見つつもその手を握り返す繊月、順応性は高いようだ。
そこから場所を移し、食卓へ。
藍は一人分増えた食事を用意しに、紫と橙と繊月はちゃぶ台を囲むようにして幻想郷の説明をしていった。
「ふむふむ、でも何でわたしが幻想郷に来たのかが分からないのさ~、確か最後の記憶が輪廻転生の最終地点で霊魂の数を数えていたはずなのさ~、まぁ、ここならゆったりと過ごせそうだからいいのさ~」
そう、余りにも楽観的と言うかご都合主義な考えを持ちつつ答えを出した繊月。
本人に戻る意思はなさそうなのでそのままマヨヒガに移り住むことが決定した。
「あら?輪廻転生の最終地点は霊魂と閻魔達しか入れなかったはず・・・」
ふっと、おもったことを口にする紫、当然紫はスキマを介して一度は行ったことのありそうな言い方をする、たぶん行ったことがあるのだろうが。
「そうだよ~」
あっけらかんとどうでもよさそうに紫に真実を告げる。
至極どうでもいいのか、はたまた阿呆なのか、前者でありたいが
自身のことをあまり話さないが、そこから何を汲み取ったのか紫は次いで質問を繊月に投げた
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