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マヨヒガ。
そこは幻想郷の何処かにある妖怪の賢者、八雲紫が住んでいる空間である。
その不可思議な空間の中にある一軒の家の中に主たる、八雲紫が暇そうに一室の中でごろごろしていた。
適当にごろごろと右へ左へ転がっていると突然起き上がり、スキマと俗称される裂け目からこれまた古風な釣り竿を取り出したのだ。
「さぁて、暇つぶしにスキマを使って釣りでもしようかしらねぇ・・・」
そう言いながら適当な物をエサとして竿の先に巻きつけ、スキマの中に放り込んだのだ。
「今日は何が釣れるのかしらねぇ~」
紫の戦績として、今のところ釣り上げてきたモノは全てガラクタだったが、今回は意気込んでいるのが分かる。
釣り糸をスキマの中にたらして数十分ほど待っていると、つりざおの先が細かく振動し始めたのだ、それに重そうである。
スキマの奥は何処につながっているか紫本人にも分からないため、何が釣れるかは運次第なのだが・・・
「・・・・・・・ダレ・・・?」
今回はガラクタとは一味もふた味も違うようだった。
今回紫が釣り上げたのは、何を隠そう人型をしたモノだからだ。
若草色と、藍色の二色が使われた小袖と呼ばれる和服を着た者だったからだ。
「ら~ん?ちょっと来なさい」
自分の予想に反した事が起った為急きょ使い魔である、八雲藍を呼びつける紫。
「藍、この子誰かしら?」
藍の到着と同時にそう問いかける。
「紫様が知らないことが私が分かるはずがないですよ?」
至極当然のことを主人である紫に進言する。
「まぁ、それもそうよね~、じゃあ藍、この子どうやら気絶してるみたいだから布団を引いて来て頂戴。」
「分かりました、紫様。」
そういって、引っ掛かっている部分を丁寧にはがして、紫の膝の上に頭を置く様にしていったん寝かす。
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