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「ちょっと~、何の騒ぎなの~?」
開口一番に出てきたのは橙と藍の大声による不満から始まった、しかし、視線を布団の上にずらした紫は、橙の帽子に噛みついている少女を見て大体の様子を把握したのだった。
「あら、その子起きたのね~」
「ええ、はい、今はなんだか空腹と寝ぼけているのか我を忘れているみたいですが・・・」
そのまま放置すること数分。
とっさに何を思ったのか、帽子に噛みついていた少女は我に返ったのか、突発的に立ち上がった。
「・・・・・・はっ、ここはどこなのさ~!?」
ざっと立ち上がった時に周りを見渡して数秒考え込むようなそぶりを見せた後叫んだ。
その後、少し落ち着かせるように深呼吸を何度かして冷静に周りを見渡す。
すると視界に、紫達が必然的に目に入った。
それを確認すると紫はその少女に向けて口火を切った。
いまだに警戒心を解いていない感じがいささかするものの、そのまま話しかけたのだ。
「貴方は誰かしら?」
一拍置いて、その少女は紫の質問に答え始めた
警戒心をあらかた解いた上で
「わたしは~、繊月(センゲツ)っていうのさ~」
独特の間延びした口調で自分の名前のみを明かす。
いまはその程度しか言えない、といった少女の線引きだろうか。
「で、貴女はだれなのさ~、そしてここはどこなのさ~」
「私は八雲紫、妖怪よ。そして九つの尻尾を持つ方が八雲藍、貴女が噛みついた猫が藍の式神の橙よ」
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