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そう考えているうちに、私の怪我は少しずつ治っていった。
メイドさんにまかせず、伊織さんは私をつきっきりで看病してくれた。それに記憶の無い私に色々なことを教えてくれた。
そして、名前をくれた。
「ねえ。未来(みく)なんてどう?」
「未来??」
「そう。未来。
あなたには過去がないわ。でもね、それを悔やんだりしちゃ駄目よ。絶望に飲み込まれるから。
前を向いて歩きましょう?
…って意味。嫌かしら?」
とても素敵な名前…。
伊織さんが私のためにつけてくれたんだ。
私はつい目に涙を浮かべてしまった。
「未来って書いて、みく…。
…凄くいいと思います。私…これからっ…」
ズキン…
え…?
頭に痛みが走った。
そして声が聞こえた。
…違うわ…私は……なんかじゃない。
私の名前は…
プツン…
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