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「ごめんね。明日香ってば恥ずかしがりやサンだからぁ」
伊織さんは、明日香さんの頬をツンツンと突いている。
「…ああ。私のことは明日香と呼べ。さん付けはやめて欲しい。これから宜しく。」
と明日香さんは、コホンと、小さな咳をしながら私を少し見て言った。
「宜しくお願い致します…私は…」
そっか。名前…分からないや…ていうか無い…
伊織さんがつけてくれた名前…未来…もう名乗ってもいいのかな…
ちゃんと決まった訳じゃないし…
でも、ここで
私の名前は未来ですって宣言しておけば、私がこの名前が良いって思ってる事が分かってくれるかも…
………。
私は伊織さんが視界に入らないようにして言った
私は、私はね…
「わ、私は……未…来です。明日香…さん」
ちらっと伊織さんの顔を見た。
一瞬凄く驚いた顔をしていたけど、すぐにいつもの笑顔に戻っていた。
「未来」って名前、嫌じゃないよって分かってくれたんだ…
と、少し安心していたら
「さんは付けないでって言ったはずだけど?」
明日香さん…いや明日香が溜め息をつきながら私を見ていた。
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