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昼休み、疲労困憊の優の元に、一組の男女が近付いてくる。二人の顔立ちは、よく似ていた。
「お疲れ様、大変だったね?」
女子の方が口を開く。愛想の良い、元気そうな女子だった。
逆に、男子の方は優に無関心らしく、ただの付き添いとして立っている。
「あっ、私は寺島日向♪こっちの無愛想なのは双子の弟で、名前は日陰♪」
「・・・よろしく。」
「私、これでもクラス委員なの。だからこれから藤原くんに学校案内しようと思ったんだけど・・・平気?」
日向の申し出を聞いて、優は立ち上がった。
この学校に楔がある事を、優は知っている。しかし、詳しい場所までは分からない。
そんな状況で学校案内は有り難かった。
「頼む。」
「よし、それじゃあ出発~♪」
学校の中を一通り歩いたが、特に何も見つからなかった。
(ある程度隠されているのか、厄介だな。)
とはいえ、探す手段が無いとは限らない。
「なぁ、この学校には怪談話とかあるのか?」
それは不用意な一言だった。しかし日向は硬直してしまう。それを見た優は一瞬当たりを引いたと思った。
「もしかして・・・藤原くんってそういう話とか、好きなの・・・?」
「いや、ただの興味だ。」
「私・・・そういう話は駄目なの・・・」
明らかに、本気で怖がっていた。ハズレだった。
(夜中に忍び込むか。それが確実だな。)
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