第二幕 転校生

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そして夜、優は本当に忍び込んでいた。学校の制服の上からコートを羽織り、手には野太刀が握られている。 優は夜の校舎を眺める。その目には学校ではなくその奥、魔術の流れを見ていた。 しかしそれは困難だった。アジア圏の魔術『陰陽道』は、優の知る魔術と異なり、独特だった。故に、理解に苦しむ。 (これは、歩いて探すしかないな。) こうして優は夜の校舎を徘徊する事になった。 目を覚ますと、そこは保健室だった。何故ここにいるのかを考え・・・ 「そういえば、サボって寝てたんだった。」 しかし、時計を見ると既に深夜と呼べる時間。何で私は今まで先生に見つからずに寝てたんだろう? もしかして・・・私って影薄い💦 「とにかく、帰らないと・・・」 急いで保健室を出て、玄関に向かって走る。その時、視界の端で何かが動いた。私はソレを、無意識に目で追ってしまった。 「・・・えっ?」 思わず、立ち止まる。今、確かにおかしな何かを見た。それを確認しようと私は振り返る。 「・・・・・・嘘、でしょ?」 それは、紛れもない『異形』だった。まるでゲームに出てくる怪物、それだった。 怪物が近寄ってくる。逃げないと・・・だけど膝が笑っている。怖いのに、体が動かない。 誰か・・・助けてっ!!
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