903人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
「お前はバカか?」
後ろから、思いきり引っ張られた。
私の手を引いたのは・・・何と言うか黒かった。
羽織ったコートが黒ければ、被っている帽子も黒い。髪も黒い。肌と手に持った細長いのだけが白かった。
「君は誰っ!?」
「いいから逃げろっ!!」
面倒に感じたのか、突然私を抱き上げて走り出した。
これは、女の子の憧れ。ザ・お姫様抱っこ!?
凄いなぁ、少年版メーテル。え?少年版メーテルって何か?だって帽子が鍔のない筒みたいだから。
駄目ならブギ○ポップだっ!!
すみません、ちょっと現実から目を背けました。
だってあんな化け物、普通の女の子である私、北川琴葉の頭では許容出来ない、出来ないのだよ君ぃ!!
「現実逃避は済んだか?」
「少年版メーテルは人の心も読めるのっ!?」
「・・・何だそれは。お前がさっきから口に出してるんだ。」
「あんですとっ!?」
おかしい、クールで冷静(意味が被ってる)な、今まで築き上げた私のイメージ(自惚れ)がっ!!
「とりあえずアレ、消すからお前はどっか行け。」
「女の子に対する扱いが酷っ!?ってアレ、何とか出来るのっ!?」
「・・・放り投げていいか?」
「激しく遠慮するっ!!」
「じゃあ黙ってろ。」
私を降ろして少年(長いから以後略)が手を化け物に向ける。
何かを小声で呟いているが、よく分からない。
「爆ぜよっ!!」
本当に、呆気なく化け物が爆発した。
その化け物の残骸も、空中で燃えていく。
やがて、少年の言葉通り、化け物は消えた。
最初のコメントを投稿しよう!