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化け物の消えた廊下で、私は立ち尽くしていた。
今のは何だったのだろう?あの化け物も謎だが、この少年も謎だ。
この少年を何となく表現するなら、魔法使いがしっくり来る。
「キメラの失敗作・・・なのか?だとしたら裏にいるのは錬金術師か。」
錬金術師?片腕片足が機械で弟が鎧のアレですか?
それともミニスカートの計算マニアですか?
いやそれよりも・・・
「君って何者?」
「どうも正体が見えないな。もう少し様子を見るか。」
・・・無視ですか。無視しますか、この少年は。
「全く、厄介な事件だな。妖刀だけの問題じゃないなんて・・・」
「フライングコトハダーイブッ!!」
説明しよう、『フライングコトハダイブ(通称FKD)』とは、左手左足を真っ直ぐに、右手右足を斜めに伸ばしてジャンプする事でKの文字を全身で作り、そのまま体当たりする技である。
意味?特にないっ!!
「お前うるさい。」
私の必殺技があっさりかわされたっ!?
くそぅ、即興で作った技なのに・・・これじゃあ私が馬鹿みたいじゃないか。
そこの読者、『その通りじゃん』とか言うなっ!!
「そういえばお前の事を忘れていた。」
やっと気付いたのかよっ!?
しかもよく見たらコートの下にうちの学校の制服着てるし。ネクタイの色から察するに・・・一年生かっ!!
私より年下のくせにっ!!
「ちょっと君・・・」
「いいから忘れろ。全部夢だ。」
少年の手が私の頭に触れると同時に、私の意識は遠のいた。
最後に見た少年の目は、何処か優しく見えた。
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