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突然私の口が塞がれ、担がれる。そして少年は走り始めた。
「術式選択、認識阻害・・・」
何かよく分からない事を言っているが、何をしたいかは理解出来た。
誰も、こっちを見ていない。
人が誘拐のような扱いなのに、誰も気付いてないのだ。
彩華も、周囲を見回しているが、私達を見つけられない。
「重力解放、跳躍・・・」
今度はいきなりどこかの民家の屋根に飛び乗った。
この少年に不可能はないのか?
連邦の白いMSは化け物かっ!?
「・・・って、そんなのはどうでもいいから、離してっ!!」
「・・・・・・」
少年は何も言わない。まるで私の存在を無視するように、屋根の上を走り続ける・・・何で屋根?
やがて私達はマンションの一室に到着した。ベランダから入ったけど。
これといった特徴のない、普通の部屋だった。敢えていうなら飾り気がない部屋だった。おそらくここは少年の部屋だろう。
部屋の真ん中で、少年は私と向かい合った。確かに、昨日見た少年だった。
「お前は何者だ?」
目上の人間に『お前』呼ばわりっ!?
何て失礼な少年だっ!!今度彩華に襲わせよう。
「こちらの魔術を無効化するなんて同じ魔術師でなければ不可能だ。
お前は、何者だ?」
話がよく分からない。
これは日本語?
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