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スピアさんの頬に、赤い線が走る。おそらく僅かに藤原くんが押しているのだろう。
「あぁ、強いね、凄く強いね。一度退かせてもらうよ。」
「二度と現れるな。」
流石は藤原くん、相変わらずの無愛想ぶりだ。フレンドリーの欠片もない。
「現れるよ、現れるとも。だけどただ現れるのはつまらないな。
そうだ。ゲームだ、ゲームをしよう。
僕は楔を探す手段には北川琴葉さんの魂しか使わないよ。それが僕のルールだ。つまり次から僕は北川琴葉さんだけを狙うんだ。
守ってみせて、守ってみせてよ。」
「俺が、そんなルールを気にする必要あると思うか?俺は正義の味方じゃない、魔術師だぞ?」
やっぱり私の扱いが酷いっ!?
私、一応ヒロインだよ・・・
私もコスプレしないと駄目ですか?
フツノさんみたいに・・・
泣いてやるっ!!
「いや、君は守る、守るよ。君は不完全な魔術師だよ。非情になりきれない、中途半端な魔術師なんだ。」
「・・・くだらない。」
藤原くんの刀の持ち方が変わる。目の色が変わる。
「怒らないで欲しいな。あぁ、怒らないで欲しい。置き土産があるんだ。」
いつの間にか、スピアさんの手には刀ではなく、槍が握られていた。
「これが僕からの置き土産だよ・・・」
先が五つに別れた槍が、藤原くんに向かって投げられる。
「貫け・・・
『ブリューナク』!!」
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