第四幕 遭遇

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『ブリューナク』 ケルト神話に登場する光の神、太陽神ルーが持つといわれる魔法の投槍。先端は五つに分かれ、それぞれが敵に降り注ぐ、さらにはルーが念じるだけで逃げた敵を追いかけ、打ち倒すといわれた・・・ ・・・って、そんなの知るかっ!!確かに説明求めたけど、本当に、しかも槍が飛んできている時に入れるなっ!!絶望感漂うよっ!! いやそもそも槍は・・・藤原くんの刀が受け止めていた。 「ほらね、ほら、ね。優しいな、凄く優しいな。これでゲームが成立するよ。また明日、また明日会おう。二人とも。」 「失せろ、奇人。」 窓から外に飛び出す。スピアさんはこの場から去っていく。 私と藤原くんは、助かったんだ。そうなると、この後の展開は映画のワンシーンのように熱い抱擁がくる・・・ 「この、バカ女。」 鞘で頭を叩かれた。何気に痛いっ!!しかし藤原くんはそんな私に構わずもう一度叩く。 「ちょっ、藤原くん、痛いってばっ!!女の子の頭をそんなに叩かないでよ。」 「お前は、二度と関わるなと告げたはずだ。何故ここまで来たんだ?関わらないでいれば、お前は平穏無事に過ごせたのに・・・」 それは一瞬、ほんの少しだけだけど、私は藤原くんの本当の顔を見た気がした。誰かを心配する、不安そうな顔を、私は確かに見た。
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