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その日の帰り、私達は一緒に帰る。そういえば色々あって、一番重要な事を忘れていた。
「藤原くん、お願いがあるの。」
「何だ?」
「これから名前で呼んでもいい?
表向きは恋人同士なんだから、そっちの方が自然だと思うし・・・」
いつまでも『藤原くん』というのは距離を感じる。仲良くなれるなら、仲良くなりたい。
そっちはもう呼び捨てだし。
「悪いが俺は恋愛なんて未経験だからそういう機微は分からない。だからそっちに任せる。」
「じゃあ、優くん。」
「好きに呼べ。」
呼び方一つでも距離は変わる。僅かに近付けた気がした。
少しずつ、私の日常が変わっていく。
ある魔術師の存在が、変えていく。
この行く末に
どんな結末があるんだろう?
私はまだ知らない。
先に待つ苦難を、私は知らない。
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