第七幕 刀と槍

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「主、人の失態を笑い、あまつさえ話のダシにするとは酷いではないのか?」 いつの間にか、優くんの隣にはフツノさんが立っていた。 よく見れば優くんが持っている鞘には刀が無かった。やっぱり正体は刀なのか。 「そういう主も、幼い頃に蜂の巣に石を投げて、泣いて逃げ回っていたではないか。 人の失態を笑えるのか?」 「なっ!?それを言うのは卑怯だろっ!」 「あの頃は可愛かったのう。蜂に刺されて泣いている主を慰めるのは、愉快であったぞ? 俗に言う『萌え』とやらか?」 「意味の分からない事をっ!!」 なんとなく想像してみる・・・うわっ、果てしなく可愛い♪ フツノさん、それが『萌え』で間違いないわよ♪ 「そもそも何でこんな状況で出てくる、仕事中は出てこない約束だろっ!!」 「出て来ざるえない状況を作ったのは主であろう?」 なんだか・・・ 「主など、未だにビデオの予約録画も出来ぬではないかっ!!」 「まだ『水戸黄門』録画し忘れた事を根に持っているのかっ!?」 まるで漫才のようで・・・ 「あの後みのもんた殿に相談したら、何と言われたと思っているっ!! 『そりゃ奥さん、アナタが悪いですよ。』 私は未婚だっ!!」 「お前は俺がいない間に何してるか、試しに全部言ってみろ。」 「家事を一通り済ませた後は昼のドラマと笑っていいとも!!を見ている。」 「刀の神の誇りはどうしたっ!?」 私はつい、笑ってしまった。
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