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「主、人の失態を笑い、あまつさえ話のダシにするとは酷いではないのか?」
いつの間にか、優くんの隣にはフツノさんが立っていた。
よく見れば優くんが持っている鞘には刀が無かった。やっぱり正体は刀なのか。
「そういう主も、幼い頃に蜂の巣に石を投げて、泣いて逃げ回っていたではないか。
人の失態を笑えるのか?」
「なっ!?それを言うのは卑怯だろっ!」
「あの頃は可愛かったのう。蜂に刺されて泣いている主を慰めるのは、愉快であったぞ?
俗に言う『萌え』とやらか?」
「意味の分からない事をっ!!」
なんとなく想像してみる・・・うわっ、果てしなく可愛い♪
フツノさん、それが『萌え』で間違いないわよ♪
「そもそも何でこんな状況で出てくる、仕事中は出てこない約束だろっ!!」
「出て来ざるえない状況を作ったのは主であろう?」
なんだか・・・
「主など、未だにビデオの予約録画も出来ぬではないかっ!!」
「まだ『水戸黄門』録画し忘れた事を根に持っているのかっ!?」
まるで漫才のようで・・・
「あの後みのもんた殿に相談したら、何と言われたと思っているっ!!
『そりゃ奥さん、アナタが悪いですよ。』
私は未婚だっ!!」
「お前は俺がいない間に何してるか、試しに全部言ってみろ。」
「家事を一通り済ませた後は昼のドラマと笑っていいとも!!を見ている。」
「刀の神の誇りはどうしたっ!?」
私はつい、笑ってしまった。
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