第七幕 刀と槍

4/8

903人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
「楽しそうだね、凄く楽しそうだね♪僕も混ぜてくれないかな?」 後ろから、あの男の声が聞こえた。 振り向いた先にいるのはあの錬金術師だ。 「命を狙うと宣言した割には、今まで静かだったな、槍の錬金術師。」 「寂しかったかい?寂しかったのかい?僕にも色々準備があったのでね、時間がかかってしまったんだ。 待たせてしまったかな?黒の魔術師。」 スピアの手には一本の槍が握られている。以前見せたブリューナクだった。 「大丈夫、大丈夫だよ。今度のは時間をかけて再現したブリューナクだ。この前の間に合わせとは違うよ。」 スピアの顔が喜びに歪む。今までの紳士的な笑顔とは明らかに違う、歪んだ笑顔だ。 「・・・フツノ。」 「心得た、主よ。」 フツノさんの姿が薄れ、次の瞬間には優くんの手に刀があった。 優くんの体には大きく見える、長い刀だ。 「下がっていろ、琴葉。そこにいると邪魔なだけだ。」 「・・・うん。」 言われて、後ろに下がった。戦いになれば私は邪魔なだけだ。 私が下がったのを確認して、優くんはスピアに向かって踏み込んだ。 黒い風、そんなイメージだった。 疾風の如き速さの一撃を、スピアが槍で受け止める。しかし優くんは一つの攻撃では止まらない。位置と角度を変えて何度も攻撃を繰り出す。 それに応えるように、スピアの槍も速さを増していく。優くんの攻撃を線と例えるなら、スピアの攻撃は点。優くんの攻撃を受け止め、なおも突く。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

903人が本棚に入れています
本棚に追加