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「楽しそうだね、凄く楽しそうだね♪僕も混ぜてくれないかな?」
後ろから、あの男の声が聞こえた。
振り向いた先にいるのはあの錬金術師だ。
「命を狙うと宣言した割には、今まで静かだったな、槍の錬金術師。」
「寂しかったかい?寂しかったのかい?僕にも色々準備があったのでね、時間がかかってしまったんだ。
待たせてしまったかな?黒の魔術師。」
スピアの手には一本の槍が握られている。以前見せたブリューナクだった。
「大丈夫、大丈夫だよ。今度のは時間をかけて再現したブリューナクだ。この前の間に合わせとは違うよ。」
スピアの顔が喜びに歪む。今までの紳士的な笑顔とは明らかに違う、歪んだ笑顔だ。
「・・・フツノ。」
「心得た、主よ。」
フツノさんの姿が薄れ、次の瞬間には優くんの手に刀があった。
優くんの体には大きく見える、長い刀だ。
「下がっていろ、琴葉。そこにいると邪魔なだけだ。」
「・・・うん。」
言われて、後ろに下がった。戦いになれば私は邪魔なだけだ。
私が下がったのを確認して、優くんはスピアに向かって踏み込んだ。
黒い風、そんなイメージだった。
疾風の如き速さの一撃を、スピアが槍で受け止める。しかし優くんは一つの攻撃では止まらない。位置と角度を変えて何度も攻撃を繰り出す。
それに応えるように、スピアの槍も速さを増していく。優くんの攻撃を線と例えるなら、スピアの攻撃は点。優くんの攻撃を受け止め、なおも突く。
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