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スピアの投げた槍から放たれる五つの光、それぞれ意志を持っているのか、別々の軌跡を描いて走る。
それを迎え撃つように、黒い風が走る。
一つ目、優くんの眉間を狙う光を正面から弾き返す。
二つ目、心臓を狙った光を切り裂く。
三つ目と四つ目、それぞれ左右から挟み込むような攻撃を、円を描くように弾き返す。
しかし、予想外な事が起きた。
五つ目は優くんを狙わずに、私に向かって飛んできた。
突然の事に・・・いや、例え知っていたとしても、あれは対処出来ない。
あれは必中を誇る魔法の槍だ。私なんかには何も出来ない。
あれをどうにかするには・・・
あの槍と同等の神秘が必要だ。
「っ!!」
それは、あまりにも不思議な姿だった。
私を貫かんとする光に追いつき、なおかつその光を斬り裂いたのだ。
人には到底不可能な動きを、優くんは確かにやってのけたのだ。
「『布津御魂』、まさかこれほど、これほどとはね。面白い、実に面白いよ。」
「・・・満足か?なら早々に死ね。」
優くん、相変わらずだね♪
「そうだね、そうだねぇ。
元々今回は『布津御魂』と勝負したいだけだったしね。また次の機会に回すのも楽しそうだね、楽しそうだねぇ。」
まるで遊んでいるように、スピアは笑う。
それはまるで私達とは異質の存在だった。
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