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「もう満足だろう?
一度退け、スピア。」
いつからそこにいたのか、黒いマントを身に纏った男が、スピアの後ろに立っていた。
「あぁ、準備は終わったんだね、カオス。待ってた、待っていたよ。」
「大した事じゃない。」
カオスと呼ばれた男は、スピアを見ていない。ただ、優くんを見ていた。
「久しいな、黒の魔術師。協会が誰を派遣してくるか不安だったが、まさかお前が来るとは・・・
実に幸運だよ。」
「・・・お前も、この事件に関わっているのか、混沌の魔術師。」
あまりにも違い二人の温度。
殺意を孕むようなカオスに対し、優くんの声にあったのは悲しそうな響きだった。
「少し違うな。関わっているんじゃない、俺が首謀者だ。」
「・・・何が目的だ?施された封印を解く事がどれだけ危険か、分かっているだろう?」
「わざわざ目的を言うと思うか?」
この二人は、知り合いなんだろうか?だとしたら、何とか戦いは回避出来ないのだろうか?
「しかし、そうだな。目的くらいは教えてやろう。それも楽しそうだ。
お前はここに何が封じられているか、知っているのか?」
「霊地、そう聞いている。」
「なるほど、あながち間違いではない。
だが、それは表面上だ。その奥に眠る、真の神秘ではない。」
「・・・はっきり言え。」
「真に封印されているのは土地神、それも極上のマガツカミだ。」
その言葉に、優くんとフツノさんは絶句していた。
・・・マガツカミって何?
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